生物というのは、どれも遺伝子によってコントロールされている
と、これまでは当然のように考えられてきました。
でも、以前ご紹介した本(「思考」のすごい力)では、
生物は、遺伝子に支配されているのではない。
思考が細胞に影響を与え、目の前の現実にも影響を与えている、とありました。
ここでさらに、別の本のご紹介と、メチレーションの話をしたいと思います。
以前の記事の「HSP」とも関連しています。
今回の本は、「自己肯定感を上げる」や
「脳のネットワークに支配されちゃう人たち」の記事でご紹介した
大嶋信頼先生の本になります
大嶋先生は本の中で、遺伝子のスイッチをオンオフすることで、
気になる症状が出たり治まったりする、とうことを書いています。
これ、MTHFR遺伝子多型についてご存知の方なら、
「メチレーションのことだよね」とピンとくるのではないかと思います。
とはいえ、本の中で大嶋先生はメチレーションとかMTHFR遺伝子のことは
確か書いてなかったと思います。
でも、大嶋先生がこの本の中で主張されてることは、
『思考のすごい力の』のブルース・リプトン先生と同じように、
特定の遺伝子を持つからといって
その症状からは逃れられない、というのではなく、
遺伝子の情報だって修正可能、と言っているんです。
遺伝子配列そのものを変えるとは言ってませんが、
遺伝子が働くためのスイッチをオン・オフにすることで
その遺伝子の影響をコントロールできる、というものです。
で、スイッチの修正をするのが、「思考」による、とするのがブルース・リプトン先生で
大嶋先生は「催眠」の手法で修正すると、本にあります。
でも、どちらも同じことだと思います。
ちなみに、分子栄養学やニュートリジェノミクス(ニュートリゲノミクス)では
「思考」や「催眠」ではなく、
食事やサプリによって足りない栄養素を補うことで
遺伝子のスイッチのオンオフの不具合を助けよう、となります。
MTHFR遺伝子に多型があるなら、葉酸やビタミンB12をとろう、といったふうに。
メチレーションとは
術後臭やPATMの悩みを抱える方は、
「メチレーション」という言葉をご存知の方も多いのではないかと思います。
PATMの治療に積極的に取り組まれている小西統合医療内科の
小西先生のサイトやブログなどでも取り上げられていますね。
メチレーションというのは、分子栄養学のHPによると
体内で「メチル基」と呼ばれる化合物を他の物質に結合することで、
生命を維持するために必要な物質を作りだしたり、
あなたの遺伝子の働きの”強弱”をコントロールする仕組みをいいます。
とのこと。
もうちょっと説明すると、
ビタミンB群の一種である葉酸が、
体内でメチルテトラヒドロ葉酸(活性葉酸)変換され、
その活性葉酸が「メチル基」という化合物をつくる。
「メチル基」は上の赤字の説明とおり
他の物質(細胞内のたんぱく質や脂質、DNAやRNAにも)にくっついて、
生体に必要な物質を作り出したり、遺伝子の強弱をコントロールする、
ということです。
では、必要な物質を作り出したり、遺伝子の強弱をコントロールするとは
具体的にどのようなことなのか、というと。
以下、分子栄養学のHPから抜粋です。(分子栄養学「メチレーションとは」)
「メチル基」は実に多彩な役割を果たしている
・遺伝子のスイッチをON/OFFにする
・化学物質や体内毒素を解毒する
・神経伝達物質の合成やホルモンを分泌する
・DNAやRNAの合成や修復を行う
・分化に必要なタンパク質を作り出す
つまり、体全体のコントロールを担っているのがメチレーション(メチル化)
私たちの「手」から「耳」が生えてこないのは
「手」という遺伝子では「耳」の遺伝子に関するスイッチがOFFになっているからだ
日本人の両親から生まれた子供が「金髪」にならないのは
遺伝によってその子供の髪の毛にある「金髪」の遺伝子スイッチがOFFになっているためである
反対に、メチル基が反応して機能を果たす場合もあある
RNAのウラシルにメチル基が結合すると、DNAのチミンになる
メチル基が付かないと、ヒトのDNAの材料であるチミンを作り出すことはできない
RNAやDNAが正しく作られなくなるということは
体の根幹をなすタンパク質合成にも支障を来すことになり、
正常な身体機能を維持することができなくなることを意味する
神経伝達物質の合成や分解にも問題がでるため、
脳神経系に障害がでる場合もある
他にもエネルギーが作られず、解毒や免疫力も低下し、
体の代謝システムが崩壊することであまねく病気が引き起こされると考えられている
以上です。
この説明のように、メチレーションが正常に機能していないと、
いろんな問題が出てきます。
同じく分子栄養学のHPには、
メチレーションの機能異常により発生する病気として、
糖尿病、がん、肺血栓塞栓症、口蓋裂、二分脊椎、自閉症、発達障害、パーキンソン病、神経管欠損、動脈硬化、免疫不全、ADD/ADHD、多発性硬化症、アルツハイマー病、先天性心疾患、流産、線維筋痛症、慢性疲労症候群、うつ、甲状腺機能低下、神経症、統合失調症、双極性障害、アレルギーなど
が、挙げられています。
メチレーションの機能低下が体臭やPATMの悩みと関連して取り上げられるのは
主に解毒能力の低さから血管が汚れて云々…とか、
解毒できなかった物質がニオイや刺激物質になって…と解釈されることが多いかと思います。
メチレーションは、本当にたくさんの疾患の原因になり得るわけで、
たとえMTHFR遺伝子多型があったとしても、
他の遺伝子との関連や生活習慣・ストレスの有無などによって
どの遺伝子のスイッチをオンオフするかは人によって無限のパターンがある。
大嶋先生の『あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ! 』には、
確か「メチレーション」という言葉は出てきてないと思うのですが、
メチレーション機能を、サプリなどを使ってコントロール(スイッチのオンオフ)するように
催眠の手法で関連遺伝子をオンオフし、「不快な症状」をなくすことができる、
その画期的な方法が、大嶋先生によって紹介されています。
それは、催眠の手法を用いたもので、薬やサプリを飲んだり、身体に刺激を与えることもなく、
遺伝子コードを唱えるだけでスイッチのオンオフが起こる、というもの。
分子栄養学やニュートリジェノミクスだと、メチレーション低下にはメチル葉酸を、となりますが、
大嶋心理学では、呪文を唱えたら治った!的な手法、ということになります。
大嶋先生は、それを催眠によって暗示にかかったから、と説明されてますが、
『思考のすごい力』のブルース・リプトン氏の言う、
生物は、遺伝子に支配されているのではない
思考が細胞に影響を与え、目の前の現実にも影響を与えている
が、大嶋先生の手法によってそのまま現実として起こっている、と言えると思います。
言葉が遺伝子(のスイッチ)を変え、目の前の不快な症状を消してくれる、ということです。
そんな、魔法みたいなことが本当に?と思いたくなりますが、
私は本を読んでものすごく納得できました。
前の記事でご紹介したHSPの本(敏感すぎて生きづらい人の 明日からラクになれる本)でも、
長沼先生が、
「想念や感情、言葉などの目に見えないものにもエネルギーがある」
と、おっしゃってますしね。
魔法でも不思議でもなんでもないんだな、という感じです。
似たような例だと、「プラシーボ」もありますね。
「よく効く薬です」と言って飲ませると、本物の薬だろうが、ただのビタミン剤だろうが
なぜか症状の改善が見られる…といったような実験です。
「病は気から」と昔から言いますが
「想念や感情、言葉などの目に見えないものにもエネルギーがある」
ということは、昔から何となく受け入れられていたし、
日常の何気ない出来事の中にも、実例があふれてるんだろうな、と改めて思います。
日本人の「MTHFR遺伝子」多型について
MTHFRという酵素が、葉酸や葉酸塩をメチルテトラヒドロ葉酸(活性葉酸)に変える。
が、この酵素を作る遺伝子「MTHFR遺伝子」、
日本人には多型(変異のこと)が多いのです。
私もこの遺伝子に変異があります。
キネシオロジーの先生にも、葉酸サプリをすすめられています。
上記で書いた通り、遺伝子多型があって葉酸不足であっても、
思念や言葉でそれを補うことができるんだ!と今では納得してはいますが
それでも時々、メチル葉酸を含むビタミンB群のサプリを飲んでいます。
(以前は毎日飲んでました)
メチレーションの低下があるとわかっている人には、
やはりサプリは手っ取り早くて便利だと思います。
葉酸は、サプリでとるなら「(6S)-5-methyltetrahydrofolic acid」と明記されているものを。
ただの「葉酸」として売られているものは、
「folic acid」、人口的に合成された葉酸のことで、はっきりいって有害です。
folic acidからメチルテトラヒドロ葉酸に変換するには、
体内でいくつか段階を踏む必要があります。
ところが上でも書いたとおり、日本人には、
メチルテトラヒドロ葉酸に変換する遺伝子(MTHFR遺伝子)に問題があって
メチレーションの機能が低下している人が多いのです。
そういう人がfolic acidを飲むと、体内で使えない葉酸が蓄積し、健康に悪影響が出ます。
また、「folic acid」以外にも、サプリに「folate」と書かれてるものがありますが、
これは、野菜などから抽出した天然の葉酸です。
人工合成の「folic acid」ほどじゃないですが、「folate」も体内ですぐに使えません。
天然だから安心、ということではないということです。
そこで、葉酸サプリを選ぶなら「Methyl Folate」さらに
「(6S)-5-methyltetrahydrofolic acid」と書かれてるものを選ぶのがいいようです。
ビタミンB群を飲んでいる人も、要注意です。
国産のほとんどの「葉酸」「ビタミンB群」のサプリは、含まれる葉酸が人工の葉酸(folic acid)です。
葉酸以外にも、ビタミンB12等も、体内ですぐに使えない組成のものが多いし、
カプセルなどに使われる添加物も良くないものが多いです。
ただ、この記事で一番にお伝えしたいのは
じゃあ、メチル(活性)葉酸のサプリを飲もう、とうことではないんです。
今回お伝えしたいのは、メチレーションの機能低下(MTHFR遺伝子の多型)は
体臭(PATM)で悩む人の多くが当てはまるのではないか…ということなんです。
MTHFR遺伝子多型と
「HSP」そして「支配されちゃう人たち」
以前の記事で、体臭(PATM)で悩む人の多くはHSP体質ではないか
ということを書きました。
さらに、HSP体質は、大嶋先生の言う「支配されちゃう人たち」と同じではないか、とも。
人口の約5人に1人は、HSPという体質である、ということですが、
大嶋先生の言う、自己肯定感の低く、他人のストレスを流し込まれる「支配されちゃう」タイプの人も
同じく10人のうち2人が当てはまる、ということなんですね。
対する、メチレーションが低下しているMTHFR遺伝子が多型である人は、
HSPなど人口の2割よりもはるかに多く、
日本人の約7割を占めるのだとか。(世界的に見て、日本人は多いらしいです)
※遺伝子多型=人口の1%以上の頻度で存在する遺伝子の変異のこと
MTHFR遺伝子多型には、2タイプあって、
C/T型は、葉酸を十分摂取できていても、やや不足しやすいタイプで、全体の50%、
T/T型は、葉酸を十分摂取できていても、不足しやすいタイプで、全体の16%、
合わせて、日本人の約7割にMTHFR遺伝子の多型がある、ということなんですね。
ここで、大嶋先生の『あなたを困らせる遺伝子をスイッチオフ! 脳の電気発射を止める魔法の言葉』
の話に戻ります。
大嶋先生は、たくさんのカウンセリングのデータから
クライアントさんの問題行動に、特定の遺伝子が関わっているのでは…と見当をつけ、
調べていくうちに、症状を引き起こすと思われる遺伝子を一つ一つ特定していったそうです。
例えば
「音に敏感な遺伝子」(NLGN4X遺伝子)
「人からの攻撃・嫌がらせに発作的に反応してしまう遺伝子」(MT-TH遺伝子・ MT-TS1遺伝子)
「人の目を見て話すと発作で頭が真っ白になってしまう遺伝子」(CASK遺伝子)
など。本の中で何十個か紹介されてますが、
おそらく大嶋先生は何百という遺伝子リストをお持ちのようです。
これら、大嶋先生が独自に特定した遺伝子は、ある特定の刺激に発作的に反応して、
日常生活に困るほどの症状が出る原因となる遺伝子です。(あくまでも先生の臨床データからの仮説)
そして、その遺伝子コードを唱えることで、遺伝因子のスイッチをオフにし、
発作が起きないようにして、不快な症状がなくなる…としています。
そんな、「呪文を唱えて治す」なんて魔法みたいなことが?と思いたくなりますが
それが成り立つメカニズムとしては、「催眠療法」や「外在化」として、
カウンセリングの分野では一手法として、わりと一般的なようです。
また、原因となる遺伝子が反応するのは、
「同じ遺伝子を持つ人同士で起こる」と言っているのが興味深いのです。
さらに、この遺伝子の本に出てくる症状とは、
敏感な人、HSPの人の特徴と似たような症状が多い。
「他人の“不快感”に反応する遺伝子」なんて、
人の気分に左右されやすいHSPの人が、いかにも持ってそうな遺伝子だし
日常生活に困るほどなら、きっとスイッチがオンになってるだろう、と思われます。
PATMなどで「反応する人としない人がいる」というのも、
同じ遺伝子を持つ者同士が脳のネットワークを通じて反応するから
同じ遺伝子を持ってない人なら反応しない、と考えられそうです。
そう考えると、たくさんの人に様々な種類の反応をされる人ほど
問題となる遺伝子をたくさん持ってて、さらにその遺伝子のスイッチの多くが
オンになった状態だから…と考えられるのではないでしょうか。
そして、そのスイッチのオンオフに
メチレーション(MTHFR遺伝子)が関わっている可能性が考えられます。
上記のメチレーションの説明にもあるように、
メチレーションは、遺伝子のONOFFと係わっているとされているからです。
つまり、術後臭やPATMで多くの人から様々な反応をされる人たち
=HSP
=支配されちゃう人たち
=低メチレーション(MTHFR遺伝子多型)
ということになるのではないか…と。
この3つがイコールで結ばれるかどうかは私の個人的な考えなので合ってるとはいえませんが
この3つのケースそれぞれの症状や特徴の多くが一致するところがあるので
これらに対する対策をすることで、症状の改善をするという方法もあるかもしれない、ということです。
HSPなら、関連書籍や関連ブログで言われている防衛策などがあるし
大嶋先生が提唱される様々な手法(遺伝子コードを唱えることや自己肯定感をあげる方法)、
そして、低メチレーション対策(葉酸サプリ)など。
これらに取り組むことも、術後臭・PATMの改善の助けになるかもしれません。
私も、悩んでた当時に、低メチレーション対策で活性葉酸を飲んでいたので
それも助けにはなっていたのかもな、と思います。
劇的な変化は感じませんでしたが…。
いずれにせよ、今回の記事に書かれていることは
引用部分以外は、あくまでも私個人の経験からの考えだということをご理解くださいね。
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